春秋要約
宿場町として栄えた栃木県鹿沼市の旧中心街に、ちょっと変わった路地がある。道を挟んで民家を改装したカフェや料理店があり、毎月、雑貨や菓子などの出店(でみせ)が並ぶ市が立つ。常連が遠くから訪れて、行列をつくるほどのにぎわいだ。
▼郊外に大きな商業施設が増え中心部が寂れた。帰郷した一人の若者が、生まれ育った路地を起点に町の再興を夢みる。まず空き家を転用しカフェを開いた。就職難もあって、起業希望の若者が集まる。準備と手ほどきを兼ね、5年前に毎月の市を始めた。ここでまず顧客をつかみ、開業につなげる青写真を描いた。
▼古い建物、路地、農業用水。車社会である地方都市では、逆にそうしたものが面白がられると火付け役の若者はいう。路地からあふれた人が町を歩く。起業の好機だ。町なかに菓子や古着などを売る店ができ、さらに散策する人が増える流れになった。新たなハコモノではなく、いまあるものを生かす町おこしだ。
▼正月に帰郷し、シャッターの下りた商店街や閉鎖した商業施設など、ふるさとの変わりようを目にした方も多いのではないか。鹿沼に似た若い世代による町の再生が、いま各地で起こっている。蔵を料理店にしたり、商店を画廊にしたり。面白さ、楽しさの舞台としての古い町――そういう着眼点に未来を感じる。
<40文字要約>
鹿沼のように寂れた故郷の再興を夢見て今ある古い町を生かす町おこしに未来を感じる。(40文字)